アフリカに代表される開発途上国では、経済成長および人口増加に伴い水需要は年々増加の一途をたどり、水不足は深刻な問題となっています。一方、東南アジアに代表される新興工業国では、経済発展に重点をおいていた開発から資源の持続性の確保に重点を置いた水資源管理へとシフトしつつあります。

 地球システム科学は、これまでどのような地域においても、水資源の開発と保全を両立できる水利用を提案してきました。この提案に基づいた水資源の開発により、これまで多くの国々で、水資源の持続性を可能にする開発に成功してきました。


給水プロジェクトにおける水資源開発調査

 水資源の持続性を配慮するためには、水資源の賦存量ではなく、その開発可能量をどのように設定するかが重要なポイントとなります。

 地球システム科学では、衛星画像解析、地形・地質踏査、物理探査、試験井掘削、揚水試験、水質分析、同位体分析、水文・水理調査、水収支解析等の各種調査を実施し、その結果を踏まえた総合的な水理地質解析を行い、地下水の開発可能量の検討を行っています。また、水理地質構造モデルを構築し、シミュレーションによる解析による開発可能量の検証、流域環境への影響評価を行います。

 これらの検討結果において明らかになった開発可能量に従って、給水マスタープランの策定、優先プロジェクトフィージビリティ-調査の実施、基本設計・詳細設計が行われ、地方給水や都市給水事業が実施されています。


統合的な水資源管理・開発計画の策定調査

 水資源は、大きく表流水と地下水に区分されますが、水循環という大きなサイクルの中で両者は密接に関連しています。近年、このような観点から、『流域単位』での水資源管理・開発を進める国が増えてきました。流域内で水源開発計画を策定する場合には、総合的な水循環システムを考慮した検討が必要になります。

 流域単位で水資源を捉えるためには、気象・水文調査、土地利用状況、雨季と乾季における植生分布等をGIS上で空間展開し、表流水関連調査および地下水関連調査と合わせて、地下水涵養域や涵養機構、流域内全体の水資源の動きと全体量を把握する必要があります。地球システム科学では、こうした流域内水循環システムを考慮した水資源開発にいち早く着手し、流域内の水資源の持続性の確保を目的とした、水資源開発および管理計画の策定を行っています。