地球大気圏における温室効果ガスの増加による地球温暖化が叫ばれて久しいですが、近年、世界各地において、記録的な降雨強度による浸水害・土砂災害、猛暑、干ばつ等の極端気象現象が現れ、社会に大きな影響を及ぼしています。これに対し、世界各国の政策はグローバルかつ総合的な観点からの対策を抜きにしては考えにくくなってきています。
 そうした背景にあって、将来にわたり市民の生命や財産を守っていく技術専門家の役割として、気候変動影響に備えるための貢献が建設コンサルタントに求められています。


 気候変動対策室の設立経緯および活動内容

 ESSは、上述の社会的要請に応えるため、気候変動の緩和への貢献ならびに気候変動への適応を考慮する専門組織として、気候変動対策室を社内に設置しました。

 当室は、弊社の重点分野である防災・水資源開発分野について、再生可能エネルギー利用や省エネ等の緩和策の導入、計画・設計段階における適応策の組み込み等により、気候変動対策の主流化を図ることを主たる活動目標としています。


 気候変動が引き起こす新たな自然災害 ~氷河湖決壊洪水~ への挑戦

 ヒマラヤ地域等に分布する山岳氷河は年々縮退しており、そのなかには、氷河末端に形成された大規模な氷河湖が次第に拡大し、背後の懸垂氷河の崩落や周辺斜面からの落石等のトリガーによって決壊し、下流域に大規模な洪水を引き起こす現象(GLOF)があります。

 ESSでは、慶応大学、名古屋大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等の研究諸機関と協力し、氷河湖決壊洪水の実態の解明とリスク評価に関する研究を行っています。