オーリス非破壊調査 社員研修の実施報告
高周波衝撃弾性波法(オーリス非破壊調査):オーリス調査に必要な「オーリス技士」資格の取得を目的として、2024年6月19日に社内研修を行いました。オーリスは、非破壊試験の一手法で、地中部などの見えない基礎構造物の形状や健全性を評価することを目的としています。
研修は、事務所ビルに設置されているH鋼を探査対象として、探査機器の接続から各種測定パラメーターの設定方法、探査データの取得といった実際の探査現場における一連の作業手順に沿って行われました。
また、研修ではスマートグラスの活用方法についても試行しました。スマートグラスは、ディスプレイになっている眼鏡のレンズを通して、インターネットから、さまざまなデジタルデータを表示できるウェアラブルデバイスとして、近年注目を集めています。弊社では、スマートグラスを使用し、現場と事務所をインターネットでつなぎ、現場の技術者の視察情報を事務所と共有することで、熟練者が現場に行くことなく的確に指示を出せるというメリットを活かした事業展開を目指しています。
今回の研修の目的は、スマートグラスを活用した1)オーリス技士による遠隔探査の実施に加えて2)オーリス技士の早期育成です。
1)オーリス技士による遠隔探査

スマートグラスによる探査状況の確認
主任技術者が現場に赴かなくても、スマートグラスから送信されるリアルタイムの映像でオーリス調査を実施することを想定しています。
試行の結果、スムーズに支障なくリアルタイムで探査状況を確認することができ、熟練技術者による適切なアドバイスを遠隔でリアルタイムで行うことが出来ました。これを使って熟練技術者が探査地点にいなくても、遠隔探査の可能性があることが実証できました。
一方、探査オペレーターが一定のレベルをクリアしていないと困難なことも予想されました。具体的には探査に用いる弾性波の発生方法で、これが主任技術者の育成時間に大きく影響します。
2)オーリス技士の早期育成

スマートグラスによる探査波形の確認
弾性波の発生方法(ハンマー打撃の強弱)については、探査対象の材質や探査の目的、深度によって大きく異なります。これは、実際の探査現場を経験しなくては身につかず、今までは主任技術者からの指示によってのみしか会得する術はありませんでした。
一方、スマートグラスを使えば、弾性波を発生させ、その探査波形をリアルタイムで確認できるので、ハンマー打撃の強弱などを視覚的および体感的に経験でき、探査の根幹となる弾性波発生のコツを会得しやすくなり、主任技術者の育成時間を短縮できる可能性も高まります。
以上が、実施したオーリス非破壊調査の社内研修の概要です。地球システム科学では、当分野に限らず社内での技術研修を行い、日々技術力の向上に努めていく所存です。