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実績紹介

【プロジェクト】キューバ国気候変動対策のための地下水開発・管理能力向上プロジェクト

JICA国際協力機構 技術協力プロジェクト


深層地下水の利用拡大を目指して

近年、キューバ国においては降雨量が平均値以下の年が連続し、2004年には1931年の観測開始以来の最低値を記録しました。特に東部地域の5県において、ダムの総貯水量は36%にまで低下し、給水制限や給水車による給水が日常化する等、給水事情が極めて悪化しました。東部5県では浅層の帯水層の分布が限定的であるため、表流水依存率が90%と高くなっていることもその一因です。

このような状況下、キューバ国水資源庁は今後、気候変動に伴い異常渇水等が起きた場合でも、給水制限を最小限にするために深層の地下水利用を拡大する方針を示し、我が国に対し、地下水探査技術に関する協力(専門家派遣、キューバ人技術者の本邦研修、関連機材供与)を要請しました。


地下水開発・管理能力向上のための技術移転

本プロジェクトは、この要請を受けて2008年から2011年にかけて実施されたもので、深層地下水利用拡大の方針に従って、地下水開発・管理能力に係る技術の移転と関連機材の供与がJICAによって実施されました。日本からは、物理探査、水理地質、地下水モデル、GISの各分野の専門家が派遣され、供与された関連機材(電磁探査機器、地下水解析ソフトウェア、GISソフトウェア等)を使用して、キューバ側技術者に対する地下水開発・管理能力に係る技術の指導と、キューバ側組織内の技術普及に対する支援が行われました。

弊社からは、『水理地質1』、『物理探査』の専門家が派遣され、水理地質データの整理・解析に関連する技術と、二次元比抵抗探査および電磁探査の現場測定技術、データ解析技術、解析結果の水理地質的解釈の指導に携わりました。これらは、地下水開発・管理においては、最も基本的な技術となるもので、今後のキューバ側技術者による深層地下水の利用拡大にあたって、大いに活用されることが期待されます。


持続可能な地下水利用に向けて

本プロジェクトにおいて、技術移転と関連機材の供与が行われた電磁探査は、通常の電気探査では困難な大深度探査にも対応可能な技術です。
今回、この電磁探査技術によって、対象地域沿岸部における海水の陸域への浸入範囲をほぼ正確に把握することが出来ました。この結果を地下水モデル解析と併せて定量的に検討することで、沿岸部における地下水の過剰揚水による塩水浸入を防ぎ、今後の持続可能な地下水利用に繋がることが期待されます。これは今日地球規模の問題である気候変動による海面上昇と海水の陸域地下水への浸入、及びそれらの問題を考慮した地下水利用について検討する上でも有効な技術となるものと考えられます。





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