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スーダンの水事情

スーダンの多様な自然-青ナイル川

青ナイル川は全長約1450kmのエチオピア高原のタナ湖付近に水源を有する川である。タナ湖に流入する支流はいくつかあるが、その内、南からタナ湖に流入するAbay川の最上流に位置するGish Abbaiの泉(標高2744m)が水源と考えられている。青ナイル川を一度でも見た人は青くもない川が何故「青ナイル川」と呼ばれるのか全く理解できないであろう。事実雨季の期間中における青ナイル川の水は茶褐色の濁流であり、青くはない。また、乾季に濁度は大幅に下がるが、どちらかといえばエメラルド色となる。この川の名称は一年の大半において、青ナイル川の水が白ナイル川の(灰色に濁った)水よりも透明に見えることに由来している。

青ナイル川やアトバラ川を説明する場合に、水源地のエチオピアの地形と地質に触れなければならない。なぜならば、青ナイル川とアトバラ川はアフリカ大地溝帯によって形成された標高の高い階段状断層の西部に位置しており、この大地溝帯が分水嶺になっているからだ。つまりエチオピアの河川は大地溝帯の西部はスーダン側に、また、東部はソマリアを経てインド洋に流出している。さらには南北の河川は海に流出することなく、大地溝帯の内部で消滅している。スーダン側に流出する河川にとって特に重要なことは4000mを超す山々が水源地付近に分布していることだ。エチオピアには大地溝帯に沿って4000mを超える山が8峰存在するが、この内6峰は青ナイル川とアトバラ川の水源地帯に存在する。当然のことながら、標高の高い山には豊かな降水があり、青ナイル川とアトバラ川に安定した流れを提供することになる。

Wikipediaによれば「青ナイル川は長さこそ白ナイル川より短いものの、エジプトに流れ着く水の56%は青ナイル川に由来するもので、同じくエチオピア高原に水源を有するアトバラ川との合流時には、両者を合わせた水量の割合は90%、流されてきた堆積物の割合は96%にまで達する」と説明されている。このように、エチオピアに水源を有する青ナイル川は雨季に大量の土砂を下流に運搬するとともに、古来より肥沃な土壌を毎年確実に提供してきた。この意味において、エジプト文明の繁栄はまさに青ナイル及びアトバラ川の賜物と言える。

写真1. タナ湖の30km下流にある青ナイルの滝(大鹿祐介撮影)

写真2. タナ湖の様子(大鹿祐介撮影)

写真3. 青ナイル川の取水施設(左は乾季、右は雨季)

写真4. 定点における雨季と乾季の青ナイル川の様子

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