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モロッコ水物語

モロッコの温泉-Abeino温泉

Abeino温泉

Abeinoはアガディールから車で約2時間南下した県都Guelmimeの北約10kmの地点に位置する小さな村落である。この村落は平成8年度の地方給水計画の対象村落になっており、私は基本設計調査のために、1996年の11月にこの場所を初めて訪問した。山麓の谷あいに開けたこの村落には、オアシスが発達しており、当初何故この村落が飲料水をはるか2km先の井戸からわざわざ導水しなければならないのか理解に苦しんだ。その答えは、集落に滾々と湧き出ている水は、塩分濃度の高い温泉であり、これを飲料水として利用することができなかったからである。

私はモロッコに温泉があることをこの時初めて知った。そして、泉質を確認するために現場で直接水質分析を行なうと共に、その後、モロッコ人と同じように下着をつけたままで温泉に入った。モロッコの冬は意外と寒く、ここで温泉に浸かることによって体は芯まで温まってきた。しかしながら、何故か落ち着かないのである。皆、プールの中で体を洗ったり、泳いでいたり、中には痰や唾を吐き出している先客もおり、近視の目が徐々に慣れてくる頃には、プールに可なりの浮遊物が浮かんでいるのを目撃し、一気に私の温泉気分は萎えてしまった。

その後私は2000年に休暇を利用して再度この村落を訪問し、この時には家内と大使館の北澤参事官(当時)のお嬢さんである恵理子さんも同伴していた。家内も恵理子さんも温泉に興味を示し、二人は早速上流側にある女湯に入った。男湯であれば、調査と称して写真撮影も許可してもらえる場合もあるが、女湯では無理であることは最初からわかっていた。そこで、意外な能力を発揮してくれたのが恵理子さんであった。彼女は旅行中、モロッコ南部の自然や人々の様子を毎日スケッチしていた。その微笑ましい絵には写真では表現できないリアルな内容が描かれており、その鋭い観察力に驚いたものであった。当然彼女は、女湯の様子をホテルに戻ってから描き出した。そこには私が予想することもできなかった光景が描かれていた。何と、女湯の中では一人の女性がプールの中で下着を脱ぎ、それを堂々と洗濯していたそうである。二人は気分が悪くなり早々に温泉を出てきたとのこと。何とも不衛生な温泉である。

写真-18.改装後の男湯の様子

図-7.女湯の様子
(北澤恵理子氏原図)

  2005年に入って、Abeino温泉は大幅に施設を改修し、小奇麗なプールに生まれ変わっていた。そして、宿泊施設も充実し、外国の観光客も訪問するようになっていた。このような発展が可能となったのは、勿論日本の協力によって、遠くの水源から村落まで飲料水が供給されたからである。

温泉の基本データ:水温=38℃、pH=6.8、電気伝導度=3,360μS/Cm

HCO3=109.8mg/ℓ、Cℓ=272.97mg/ℓ、SO4=1,766.4mg/ℓ、

Ca=535.47mg/ℓ、Mg=91.37mg/ℓ、Na=187.45mg/ℓ、K=21.45mg/ℓ

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