1. HOME
  2. ブログ
  3. モロッコ水物語
  4. 自然シリーズ‐オアシス

BLOG

ブログ

モロッコ水物語

自然シリーズ‐オアシス

オアシス

オアシスと聞いて、殆どの人は沙漠の長旅に疲れ切ったキャラバンが、あたかもエデンの園のような緑豊かな楽園に遭遇し、そこの泉で心身ともにリラックスしている状況を想像するのではなかろうか。事実オアシスをYahoo Japanで検索すると約518万件がヒットし、例えば「都会のオアシス」等のように癒し系の名前が高い頻度で出現する。ちなみに2004年に東京駅丸の内北口の旧国鉄本社跡地に建てられた複合商業施設は、「オアゾ(OAZO)」と名付けられ、これはエスペラント語で「オアシス」を意味するそうである。

  モロッコに分布するオアシスは、圧倒的に河川沿いに発達したものが多く、沙漠に浮かんだような孤島状のオアシスは少数である。また、モロッコにはアトラス山脈の東部からアンチアトラス山脈にかけて大小さまざまなオアシスが分布しているものの、アトラス山脈の西側ではマラケシュ周辺にほぼ限定されている。これらの中で、モロッコ最大規模のオアシス群がエルラシーディアからエルフードまでの南北約60kmのZiz川沿いに発達している。周辺の茶褐色の断崖絶壁と谷底平野に延々と続く緑豊かなオアシスとのコントラストは圧巻であり、ここはモロッコを代表する観光スポットにもなっている。

  オアシスの内部は意外にも植生の種類が多く、しかも周辺部と比べると気温が5度程低くなっている。この重要な温度調整の機能を担っているのが、オアシスを代表する樹木となっているナツメヤシである。この木は乾燥に強いことから、古来より貴重な保存食となるデーツを住民に提供すると共に燃料や建築材料としても利用されてきた。ナツメヤシの次の中低木としてはイチジク、ザクロ、オレンジ、オリーブ及びアーモンド等が植えられており、これらも季節折々の果物を提供している。そして、更に気温が低くなった樹木の下には、家畜用のアルファルファを始め、タマネギ、ニンジン、キャベツ、オクラ、トマト、カブ大根、小麦等が栽培されている。

  モロッコには緑豊かなオアシスが存在する反面、ザゴラ周辺やTata地方ではオアシスの枯渇が社会問題化している。この最大の原因は降水量の減少に伴う地下水位の低下であり、現状ではこれに対応するための有効な手段が見出せないでいる。このような状況下において日本は、エルラシーディア地方のオアシスを事例にその再生にとって最も重要なKhettara(地下水路)の改修に関するマスタープランを開発調査で策定した。また、毎年大使館の草の根無償を通して5案件程度のKhettaraの改修工事が実施されており、日本は当該分野の先駆者となっている。モロッコ側はこのような日本の具体的で実効性のある協力を高く評価しており、今後被害の大きな地域への更なる展開も要請されている。

写真-11.緑豊かなオアシスの内部

写真-12.衰退するオアシス
  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事