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モロッコ水物語

自然シリーズ‐平野と盆地

平野と盆地

モロッコは日本と比べて平地が多いものの、平地を構成している平野に着目すると、日本のように河川の洪水と堆積を繰り返して形成された所謂「沖積平野」は非常に少なく、その殆どは岩盤の上に薄い表土が覆っている平原であることがわかる。しかも全体的に乾燥気候であることから、モロッコの平原は水理地質学的に地下水を貯留しにくい環境下にある。

モロッコで最大の沖積平野はSebou川の下流域に形成されたRharb平野であり、この平野はモロッコで最も豊かな農業地帯となっている。また、この地域は比較的河川や地下水が豊富なことから稲作も行われている。これに対して、マラケシュ周辺のHaouz平野(地形学上は盆地)やアガディール地方のSus平野は同じ沖積平野であっても、視覚的には乾燥した平原と何ら変わらない。ただし、両平野とも地下水灌漑によって大規模な輸出作物の生産を行っているが、現状のまま過剰な地下水の揚水を続けた場合、水資源の縮小や枯渇によって農作物生産量の大幅低下は避けられないであろう。

一方、モロッコの内陸部には大小さまざまな盆地が発達している。例えば、フェズからエルラシーディアへ、あるいはアガディールからワルザザット等の内陸方面に向かう場合、乾燥した盆地をいくつも通過することになる。これら盆地の殆どはユーラシア大陸にアフリカ大陸が衝突することによって形成された構造盆地であり、水資源的な価値はあまり高くない。それは平野と同様、沖積層が貧弱であり、地下水が貯留しにくい岩盤主体の構造になっていることによる。

私はモロッコ各地の乾燥した大平原や盆地を目にするたびに、もしこの国が水資源にさえ恵まれていれば、恐らくアフリカ大陸で最初に先進国になっていたのではないかと勝手に想像している。

写真-9.Bou Regreg川と沖積平野


 写真-10.内陸部の典型的な盆地
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